壁紙の不燃・準不燃などのシール(防火施工管理ラベル)は、義務ではありません。

壁や天井のクロス・壁紙の上に貼られていることが多い、不燃・準不燃・難燃などのシール(防火施工管理ラベル)は、建築基準法・消防法いずれでも、貼る義務はありません。

防火施工管理ラベルとは?

防火施工管理ラベルとは、天井や壁紙の上に貼られることがある、不燃・準不燃・難燃などのシールのことです。

防火施工管理ラベルは貼る義務がありません

このシールは建築基準法・消防法など、建築に関わる法律で貼る義務はありません。

義務ではないのに、なぜ貼っているの?

以前は表示が必要でしたが、2000年(平成12年)の建築基準法 改正により不要になりました。

現在では、国土交通省大臣官房官庁営繕部による公共建築工事標準仕様書、19.8.3 施工 (7)において、

「建築基準法に基づく防火材料の指定又は認定を受けた壁紙には、施工後、適切な表示を行う。」

と記述されていることを根拠としています。

民間工事では、公共建築工事標準仕様書を守る必要・義務はありません。

個人が建築主となる一戸建てであればなおさら、公共建築工事標準仕様書は使いません。

一戸建てでは、住宅金融支援機構の工事仕様書を使うことが多く、この場合には不燃性表示についての項目はありません。

一般的な一戸建てでは、不燃のボード下地に1000番台のクロスを汎用の糊で施工すること多いので、普通に建てれば不燃材料を満たしていることでしょう。

防火施工管理ラベルは剥がしてもいいの?

もともと、法律で義務付けられているものではありませんので、剥がしてもかまいません。

防火施工管理ラベルは、1枚いくら?

内装仕上材の団体より、1枚 32.4円(消費税8%時)で販売されています。

壁と天井の2枚を同時に使うため、1か所 65円ほどです。

先の写真は、民間のホテルですが、1つの客室で、客室・洗面室・トイレの3か所に貼ってありました。

部屋数が多いホテルの場合、建物全体では数十万円になります。

値段もさることながら、防火施工管理ラベルはデザイン性が無いのが難点です。

日本壁装協会のウェブサイトによると、壁装施工団体協議会等へ発行を行った防火施工管理ラベルの枚数は、2015年度:約283万枚、2016年度:約301万枚、2017年度:約278万枚、2018年度:約293万枚です。

1枚 32.4円 × 約300万枚 ≒ 1億円。。。

防火施工管理ラベルはどこで買うの?

防火施工管理ラベルは内装仕上材の団体が販売していますが、「防火壁装施工管理者」の資格を取得をしていないと購入できません。

「防火壁装施工管理者」の資格を取得するために必要な費用は以下の通りです。

受講料 5,000円
登録料 10,000円
会費 15,000円(3年分)
消費税 2,400円(税8%)
合 計 32,400円

講習会は、新規で3時間程度のようです。

カーテン、じゅうたんの防炎ラベルは?

カーテン、じゅうたんに取り付けられている防炎ラベルは消防法に明記されているため、防火施工管理ラベルよりも根拠が明確です。

消防法第8条の3

  1. 高層建築物若しくは地下街又は劇場、キャバレー、旅館、病院その他の政令で定める防火対象物において使用する防炎対象物品(どん帳、カーテン、展示用合板その他これらに類する物品で政令で定めるものをいう。以下同じ。)は、政令で定める基準以上の防炎性能を有するものでなければならない。
  2. 炎対象物品又はその材料で前項の防炎性能を有するもの(以下この条において「防炎物品」という。)には、総務省令で定めるところにより、同項の防炎性能を有するものである旨の表示を附することができる。
  3. 何人も、防炎対象物品又はその材料に、前項の規定により表示を附する場合及び工業標準化法 (昭和二十四年法律第百八十五号)その他政令で定める法律の規定により防炎対象物品又はその材料の防炎性能に関する表示で総務省令で定めるもの(以下この条において「指定表示」という。)を附する場合を除くほか、同項の表示又はこれと紛らわしい表示を附してはならない。
  4. 防炎対象物品又はその材料は、第2項の表示又は指定表示が附されているものでなければ、防炎物品として販売し、又は販売のために陳列してはならない。
  5. 第1項の防火対象物の関係者は、当該防火対象物において使用する防炎対象物品について、当該防炎対象物品若しくはその材料に同項の防炎性能を与えるための処理をさせ、又は第2項の表示若しくは指定表示が附されている生地その他の材料からカーテンその他の防炎対象物品を作製させたときは、総務省令で定めるところにより、その旨を明らかにしておかなければならない。

クロス・壁紙の実際の不燃性は、クロス・壁紙そのものではなく、ほとんどが下地の面材で決まってしまうことに対して、カーテン、じゅうたんはその商品そのものの防炎性で決まります。

そのため、防炎製品とまぎらわしい表示なども禁止して、不適切な商品を除外しているものと思います。

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